
禁酒や断酒を始めるときに知っておきたいのが、アルコールの離脱症状です。
お酒をやめると、眠れない、イライラする、汗をかく、手が震えるなどの症状が現れることがあります。
そして、長期間にわたり多量の飲酒を続けている人の場合、
「根性で我慢すればいい」では済まないことがあります。
重い離脱症状では、幻覚やけいれん、意識がもうろうとするといった症状が起こることもあるからです。
私は20年近くお酒を飲んだ後に断酒しました。
酒をやめること自体には大きなメリットを感じていますが、だからこそ、これから禁酒を始める人には「安全に始めること」を最優先にしてほしいと思っています。

この記事でわかること
- アルコール離脱症状とは何か
- 禁酒後いつごろ症状が出るのか
- 初期症状と危険な症状の違い
- すぐに医療機関へ相談したほうがよいサイン
- 禁酒を安全に始めるために確認しておきたいこと
- 離脱期を過ぎた後に断酒を続ける方法
禁酒の離脱症状はいつまで?まず時間の流れを図解
アルコール離脱症状が出始める時期や強さには個人差があります。
飲酒量、飲酒期間、体質、身体の状態などによって変わるため、全員が同じ経過をたどるわけではありません。
ただし、離脱症状にはある程度の時間的な傾向があります。
仙台市のアルコール依存症に関する情報では、初期症状は離脱後およそ7~20時間、進行した症状はおよそ72~96時間に現れると説明されています。
【図解】最後の飲酒から離脱症状が出るまでの目安
↓
体内のアルコール濃度が下がっていく
↓
手の震え・発汗・不眠・吐き気・イライラ・不安などの初期症状
↓
幻視・幻聴・けいれん・意識混濁・錯乱などの重い症状が現れる場合も
↓
多くの場合、離脱症状は徐々に軽くなる
※症状や経過には大きな個人差があります
重要
上の時間はあくまで一般的な目安です。
「○時間たったからもう安全」などと自己判断するための表ではありません。
特に大量飲酒を長期間続けている人や、過去に離脱症状を経験している人は、突然自力で断酒する前に医療機関へ相談してください。
外部リンク:仙台市「アルコールとのつきあい方にお悩みの方へ」
アルコールの離脱症状とは?なぜ酒をやめると不調になるのか
離脱症状とは、アルコールへの身体依存が形成された状態で飲酒量を減らしたり、酒をやめたりしたときに現れる症状です。
厚生労働省の情報では、習慣的に飲酒を続けると、
飲酒を続ける
↓
同じ量では酔いにくくなる「耐性」
↓
酒が欲しくなる「精神依存」
↓
酒が切れると症状が出る「身体依存」
↓
不快な症状を消すためにまた酒を飲む
という悪循環に進むことがあります。

この「酒を飲むと症状がおさまる」という状態は、単に酒好きという話ではありません。
アルコールがない状態に身体が対応できなくなっている可能性があります。
外部リンク:厚生労働省「アルコールと依存」
禁酒で起こる主な離脱症状一覧
アルコール離脱症状は、軽いものから医療管理が必要なものまで幅があります。
分かりやすく表にまとめます。
| 段階 | 主な症状 | 対応 |
|---|---|---|
| 初期 | 手足の震え、発汗、不眠、吐き気、下痢、動悸、血圧上昇、イライラ、不安、寒気など | 症状が出た場合は医療機関への相談を検討 |
| 重症化 | 幻覚、けいれん、意識がもうろうとする、錯乱など | 速やかに医療機関へ |
初期に多い症状:手の震え・汗・不眠・イライラ
比較的早い段階で現れる離脱症状として、次のようなものがあります。
- 手足の震え
- 寝汗など大量の発汗
- 寝つけない
- 夜中に何度も目が覚める
- 吐き気・嘔吐
- 下痢
- 動悸
- 血圧上昇
- イライラする
- 落ち着かない
- 不安感
- 寒気や体温上昇
厚生労働省も、不眠・発汗・手の震え・血圧上昇・不安・イライラなどを代表的な離脱症状として紹介しています。

危険な症状:幻覚・けいれん・意識混濁
特に注意したいのが、離脱症状が重くなった場合です。
すぐに医療につなげたい危険サイン
- けいれん発作
- 実際には存在しない人・虫・小動物などが見える
- 実際には聞こえない声や音が聞こえる
- 意識がもうろうとする
- 場所や時間が分からなくなる
- 激しく混乱・錯乱する
これらは「あと少し我慢すれば乗り越えられる」と考えて自宅で耐える症状ではありません。
久里浜医療センターでも、アルコール依存症の入院治療では最初に離脱症状の治療を行っています。
外部リンク:久里浜医療センター「アルコール科・受診案内」
「禁酒して眠れない」は全部が離脱症状とは限らない
ここは少し注意が必要です。
禁酒を始めたあとに、
- 寝つきが悪い
- なんとなく落ち着かない
- 酒が飲みたい
- 暇に感じる
- いつもの晩酌時間になるとソワソワする
という状態になったからといって、それだけでアルコール依存症や医学的な離脱症状と自己診断することはできません。
長年の習慣として、
18時になる → 冷蔵庫を開ける → ビールを飲む
という行動パターンが身についていたために、いつもの行動がなくなった違和感を感じることもあります。
一方で、震え、激しい発汗、動悸など身体症状が伴う場合は軽視しないほうがよいです。

こんな人は突然ひとりで断酒を始める前に相談を
特に、すでに身体依存が疑われる場合は、突然酒をゼロにすることが危険になる場合があります。
断酒前に医療機関へ相談したいサイン
- 長期間、毎日のように多量飲酒している
- 酒を抜くと手が震える
- 酒を抜くと汗・動悸・強い不安などが出る
- 朝から酒を飲むことがある
- 不快な症状を消すために酒を飲むことがある
- 過去の断酒時に幻覚やけいれんなどがあった
- 飲酒量を自分でコントロールできなくなっている
こうした状態なら、
「明日から根性で一滴も飲まない!」
と自己流で突っ走るより、アルコール専門医療機関やかかりつけ医などに相談したほうが安全です。
薬を使った離脱症状の治療や、身体状態のチェックが必要になる場合もあります。
外部リンク:厚生労働省「アルコール健康障害対策」
禁酒を始める前に自分の飲酒量を見える化する
「自分はそんなに飲んでいない」と思っていても、実際に数字にすると意外に多かったということがあります。
厚生労働省は、飲酒量を純アルコール量(g)で把握する方法を紹介しています。
純アルコール量の計算式
飲んだ量(ml) × アルコール度数 ÷ 100 × 0.8
例:ビール500ml・アルコール5%
500 × 0.05 × 0.8 = 純アルコール20g
たとえば、毎晩500mlのビールを3本飲んでいるなら、単純計算で純アルコール60gになります。
まずは1週間程度、
- 何を飲んだか
- 何ml飲んだか
- アルコール度数
- 何時から飲み始めたか
- 翌朝の体調
をメモするだけでも、自分と酒の関係がかなり見えやすくなります。
ただし、純アルコール量だけで離脱症状の危険度を自己判定することはできません。
外部リンク:厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」
禁酒初期を安全に乗り越えたら「飲まない生活」を作る
医学的に危険な離脱症状への対応と、その後に断酒を継続する方法は分けて考えたほうがいいです。
【図解】断酒の2ステージ
STEP1 安全に酒を抜く
離脱症状が疑われる場合は医療機関へ
↓
STEP2 酒なしの生活習慣を作る
夜の予定・ストレス対策・飲酒欲求への対処
ここからは当サイトにある実体験の記事を使えます。
最初の1~2週間は夜の予定を先に決める
禁酒初期は、今まで酒を飲んでいた時間が丸ごと空きます。
これが意外に危険です。

となりやすいからです。
私の場合は、夜にやることを意識的につくったことが断酒の継続に役立ちました。
内部リンク|禁酒初期の具体的な計画
急に飲みたくなったときの行動を決めておく
断酒を続けていると、不意に飲みたくなることがあります。
仕事で嫌なことがあった日。
金曜日の夜。
旅行先。
久しぶりの飲み会。
「一杯だけなら」という考えが出てきたときに、その場で考えるのではなくあらかじめ対処方法を決めておくのがおすすめです。
内部リンク|飲酒欲求への対処
酒の代わりになる楽しみを増やす
酒をただ「禁止」すると、生活から楽しみだけを取り上げられた感覚になりがちです。
そこで、酒以外の気分転換を増やします。
- 散歩
- 筋トレ
- ドライブ
- サウナ
- 読書
- 映画
- カフェ
- おいしいものを食べに行く
「飲めない生活」ではなく、「酒以外の選択肢が増えた生活」にすると断酒はかなり楽になります。
内部リンク|酒の代わりの楽しみ
禁酒を続けるメリットを定期的に確認する
断酒初期は「飲めないデメリット」ばかりが目につきます。
しかし、ある程度続けると逆転してきます。
酒を飲まないことで、
- 二日酔いがなくなる
- 酒代がなくなる
- 酔っていた時間が戻ってくる
- 睡眠や生活リズムを整えやすくなる
- 飲酒後の失敗や後悔がなくなる
などのメリットを感じやすくなります。
内部リンク|禁酒後に感じた変化
アルコール依存症は「意志が弱いから」ではない
酒をやめようとしているのにやめられないと、

と思ってしまうことがあります。
しかし、アルコールには依存性があります。
身体依存まで形成されれば、酒を飲まないことで身体症状まで出ることがあります。
そうなれば、単なる「我慢強さ」の問題ではありません。
久里浜医療センターも、アルコール依存症を「飲酒コントロールの喪失という特徴を持つ精神疾患」と説明しています。
治療、通院、自助グループ、周囲の支援などを利用して回復を目指すことができます。
外部リンク:久里浜医療センター「アルコール依存症について」
禁酒・離脱症状についてよくある質問
禁酒して何日目が一番つらいですか?
一概には言えません。
仙台市の情報では、初期症状は離脱後およそ7~20時間、進行した症状は72~96時間が目安とされています。
症状は4~5日程度で軽くなるケースが多いとされていますが、飲酒量や身体状態などによって経過は異なります。
禁酒1日目に眠れなくても大丈夫ですか?
不眠は離脱症状のひとつとして知られていますが、単なる生活習慣の変化など別の原因の場合もあります。
手の震え、大量の汗、動悸、吐き気、強い不安など他の症状もある場合や、症状が強くなる場合は医療機関へ相談してください。
手が震えたら酒を少し飲んだほうがいいですか?
自己判断で酒を使って症状を抑え続けると、飲酒と離脱を繰り返す状態になりかねません。
一方で、身体依存が強い人が突然断酒することにも危険があります。
「飲むか、我慢するか」を自分だけで決めず、医療機関に相談することが大切です。
自宅で断酒しても大丈夫ですか?
飲酒量が少なく身体依存がない人と、長期間多量に飲み身体依存が形成されている人では状況がまったく異なります。
離脱症状がすでにある、以前の断酒で強い症状が出た、多量飲酒を長く続けているなどの場合は、自己判断せず医療機関へ相談してください。
離脱症状を乗り越えれば断酒は成功ですか?
身体的な離脱期を越えることと、長期間酒を飲まない生活を続けることは別の課題です。
離脱期の後には、飲酒欲求やストレス、飲み会など再飲酒につながる場面への対処が必要になります。
内部リンク|再飲酒を防ぐ
まとめ:禁酒は「安全に酒から離れる」ところから始めよう
禁酒や断酒は、長い目で見れば健康や生活を立て直す大きなきっかけになります。
ただし、長期間多量に飲酒して身体依存が形成されている場合、最初の数日には注意が必要です。
この記事のまとめ
- アルコール離脱症状は酒を減らしたりやめたりした後に起こることがある
- 初期には手の震え、発汗、不眠、吐き気、不安などが現れる
- 幻覚、けいれん、意識混濁、錯乱などは危険なサイン
- 長期の多量飲酒や離脱症状がある人は自己流で突然断酒しない
- 危険な離脱期への対応と、その後の断酒継続は分けて考える
- 安全を確保した後は「酒を飲まない生活習慣」を作っていく
私自身、お酒をやめてから、
「酒を飲まないことを我慢している」
という感覚は少しずつ薄くなりました。
むしろ、酒を飲まない状態が日常になります。
その入口で無理をする必要はありません。

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